住まいづくり 2025-12
「軒(のき)」は必要?メリット・デメリットから考える理想の屋根
最近の住宅デザインでは、軒(のき)がほとんどない「軒ゼロ」住宅や、スタイリッシュなキューブ型の家が増えています。見た目がすっきりとしておしゃれな反面、「本当に軒がなくて大丈夫なの?」と不安に思う方もいるかもしれません。古くから日本の家屋に欠かせなかった「軒」。今回は、その役割を再確認し、現代の家づくりにおけるメリット・デメリットを整理します。
そもそも「軒(のき)」とは?
軒とは、屋根のうち外壁よりも外側に飛び出している部分のことを指します。雨や雪の多い石川県の気候風土において、建物を守る傘のような重要な役割を果たしてきました。しかし近年は、デザインの流行や敷地条件の厳しさから、軒の出を短くしたり、なくしたりするケースも増えています。
「軒がある家」のメリット
軒があることの最大の恩恵は、「家の寿命を延ばす」ことと「快適な室内環境を作る」ことです。
■外壁の劣化を防ぐ(雨だれ・雪・汚れ防止)
軒は、外壁にとっての「傘」です。雨や雪が直接外壁に当たるのを防ぐことで、汚れやコケの付着を抑えます。また、窓まわりのコーキング(防水材)の劣化スピードを遅らせる効果もあり、将来的なメンテナンス費用の節約につながります。
■夏の日差しを遮り、冬の日差しを取り込む
太陽高度が高い夏は、軒が日傘となって直射日光を遮り、室内の温度上昇を防ぎます。逆に太陽高度が低い冬は、日差しが軒下を通り抜けて部屋の奥まで届き、暖かさを取り込めます。この自然エネルギーを利用した設計(パッシブデザイン)には、軒が不可欠です。
■雨の日でも窓が開けられる
多少の雨であれば、軒のおかげで窓を開けて換気ができます。また、玄関ポーチに深い軒があれば、雨に濡れずに傘をたたんだり、鍵を探したりすることができます。
「軒がある家」のデメリット
一方で、軒を出すことによるデメリットや注意点もあります。
■デザインの好みが分かれる
軒を深く出すと、どうしても「和風」や「重厚」な印象になりがちです。「シンプルモダン」や「キューブ型」のような、箱型のすっきりとしたデザインを好む場合、大きな軒はイメージと合わないことがあります。
■建築コストが上がる
軒を出すということは、その分だけ屋根の面積が増え、軒裏(軒天)の仕上げ材も必要になります。また、風の影響を受けやすくなるため、耐風性を高めるための構造補強が必要になる場合もあり、コストアップの要因となります。
■隣地境界線の制限を受ける
都市部の狭小地などでは、隣地境界線ギリギリに家を建てることがあります。民法や建築基準法の制限により、敷地に余裕がない場合は物理的に軒を出せないことがあります。
「軒ゼロ」住宅にする場合の対策
「デザイン重視で軒をなくしたい」「敷地の都合で出せない」という場合は、軒がないことによるリスクへの対策が必須です。
外壁材の選定: 耐久性が高く、汚れに強い外壁材を選ぶ(タイルや高耐久サイディングなど)。
防水処理の徹底: 屋根と外壁の取り合い部分(接合部)からの雨漏りリスクが高まるため、施工精度の高い会社を選ぶ。
窓上の庇(ひさし): 少なくとも南側の窓には、後付けの庇(ひさし)やアウターシェードを設置して、日射遮蔽を行う。
まとめ:軒は「家の寿命」と「暮らしやすさ」への投資
軒は単なるデザインの一部ではなく、日本の過酷な気候から家を守る機能的なパーツです。
メンテナンスコストを抑えたい・省エネに暮らしたい → 「軒あり」がおすすめ
初期コストを抑えたい・モダンなデザインを最優先したい → 「軒なし(対策必須)」
ご自身の優先順位に合わせて、ハウスメーカーの担当者とじっくり相談することをおすすめします。長く住む家だからこそ、デザインだけでなく「機能としての屋根」にも注目してみてください。
金沢ハウジングセンターは軒をどのようにしたいかお悩みの方も気軽に相談できるハウスメーカーが揃った総合住宅展示場です。
あなたのイメージ通りの住まいがきっと見つかる!まずはご来場予約からはじめてみませんか。
モデルハウス見学予約はこちら


